科学部のメンバーで、ディズニーランドに行くことになった。いわゆる卒業旅行というやつだ。言い出しっぺは親友のアキオ。菜穂といい感じになっているので、このグループデートで決定的にしたいらしい。アキオと菜穂は高校が離れてしまうので、アキオが焦る気持ちもわかる。そういう自分も、できれば佐山さんと仲良くなりたいと思っている。佐山さんも同じように思っていてくれているのではないかと思うが、アキオのように勇気がないので、曖昧な感じだ。ディズニーは夢の国だから、その場の雰囲気が後押しをしてくれるのではないかと期待したい。

でも、いちばんのネックは、自分が乗り物酔いしやすい体質だということだ。

学校の遠足や課外授業では、バスは常に先頭に近い席。先生のすぐ後ろというのが定位置だった。ディズニーランドには激しい乗り物も多いが、それ以前に、ディズニーランドまで行く交通手段が不安だ。乗り物酔いを克服したいと、薬を飲んでみたり、ゴム製のブレスレッドのようなものを手首に巻いたりしたが、どれもあまり効果を感じられなかった。小さい頃から自家用車のない家庭に育ち、幼稚園もバスに乗る必要のない近距離。鍛えられてこなかったツケだろうか。アキオは、バスの中でDSをすることすら平気なのに、自分はなるべく遠くを見ていないと、段々気持ち悪くなってしまうので、長距離のバスは乗れない。

フォーンテッドマンションで佐山さんと2人で乗れたとして、怖がる佐山さんが自分を頼りにしてくれても、自分は乗り物酔いで真っ青だったらどうしよう。ドンびきされるだろう。アキオはこのアトラクションでキスをすることを企んでいるようだが、そんな余裕は全くないのだ。